ブログ三銃士

このブログは、FM府中で絶賛放送中の番組、「シネマ三銃士Z」を母体とするブログです。放送では収まりきらない思いの丈のほか、ラジオで放送したものとは関係ない本のことや音楽のことetcを綴っていきます。FM府中ポッドキャストもよろしくね!http://fmfuchu.seesaa.net/

シネマディクトSの冒険~シュウの映画時評・第10回「ホース・マネー」~

ペドロ・コスタ「ホース・マネー」(2014・ポルトガル・スタンダード・104分) www.cinematrix.jp ・ペドロ・コスタの倫理 カーボヴェルデの移民たちが、ヴェントゥーラ自身の肉体に比喩的にではなく刻み付けられているのと同程度に、そして初期作『血』『骨…

シネマディクトSの冒険~シュウの映画時評・第9回「ジュラシック・ワールド」

「ジュラシックワールド」(2015)コリン・トレボロウ監督(アメリカ・124分・スコープ) ・「見る」と「見られる」 恐竜は見るものであって、恐竜に見られることはない。これこそがシリーズ一作目の傑作「ジュラシック・パーク」を貫くモチーフであった。こ…

「三銃士スポーツ」略してサンスポ第3回 ダービーだ

明日は特別な日だ。妻の誕生日であるとか、結婚記念日だとかではない。もちろん、それらが特別な日ではないというわけではない。 日本ダービーだ。 明日5月29日、東京競馬場で東京優駿(日本ダービー)が行われる。 今年の出走馬や、予想については多くの…

シネマディクトSの冒険~シュウの映画時評・第8回「山河ノスタルジア」

ジャ・ジャンクー「山河ノスタルジア」(スタンダード・アメリカンビスタ・スコープ/125分) www.bitters.co.jp ・かなしみ≠悲しみ いささか時代の隔絶を感じざるをえないという意味で突拍子も無い冒頭のペットショップボーイズ「Go West」で踊る主演チャオ…

不定期刊「三銃士スポーツ」その2 「いくつかの引退」

彼の指先から放たれたボールは美しい放物線を描き、フープに触れることなくネットを通り抜けて行った。僕らは何度その光景を目にしたことだろう。ディフェンスをあざ笑うようなフェイダウェイショット、立ちはだかるブロックをかいくぐるダブルクラッチ、相…

不定期刊「三銃士スポーツ」その1

ぼくらのラジオ番組「シネマ三銃士Z」のオープニングではたびたびスポーツネタ(主に野球と競馬)が話される。まあ、スポーツ好きがいるからだ。ぼくをはじめとして。 でも、ラジオの方はあくまでも映画を扱うものなので、そこで自重している有り余ったエネ…

中学国語教科書を読む―その11―

平成24年度版中学校国語教科書『中学生の国語』|三省堂「ことばと学びの宇宙」 今回から「理解力1 的確に読み解く」という単元に入る。ここで不思議なのは、この「理解力1」の単元の最初にあるイラストである。二つの机が描かれており、一つは正方形に近く…

シネマディクトSの冒険~シュウの映画時評・第7回「バケモノの子」~

細田守監督「バケモノの子」(16:9・119分) バケモノの子 (スタンダード・エディション) [Blu-ray] 出版社/メーカー: バップ 発売日: 2016/02/24 メディア: Blu-ray この商品を含むブログ (6件) を見る ・くじら 始まってすぐの渋谷スクランブル交差点を緻…

ダイスケつれづれ 第5回「TVぴーぽー!!」

はい、ご無沙汰。 なんだかバタバタしててなかなか書けなかった。そんなことにはお構いなく、世の中は動いていく。 さて、前回は朝ドラ「あさが来た」について書いたのだけれど、気付けば最終回を迎え、次の朝ドラが始まっている。で、今回はその話とか。ど…

中学国語教科書を読む―その10―

平成24年度版中学校国語教科書『中学生の国語』|三省堂「ことばと学びの宇宙」 前回からしばらく時間が空いてしまった。引き続き中学国語教科書をだらだらと読んでいく。「わかりやすく述べる」の単元で、前回は説明文「水田のしくみを探る」を読んだ。その…

シネマディクトSの冒険~シュウの映画時評・第六回「母よ、」~

ナンニ・モレッティ監督「母よ、」(ヨーロピアン・ビスタ/107分) 映画『母よ、』第68回カンヌ国際映画祭エキュメニカル審査員賞受賞 カイエ・デュ・シネマ誌が選ぶ2015年映画第1位 2016年3月公開 表象という点においては記憶と夢に違いはない。我々が記憶…

中学国語教科書を読む―その9―

平成24年度版中学校国語教科書『中学生の国語』|三省堂「ことばと学びの宇宙」 今回の第9回にしてようやく一つの文章を読むことができそうだ。いかに教科書を読み飛ばさずきちんと読むというのがコンセプトであるとしても、かなりのスローペースである。「…

中学国語教科書を読む―その8―

平成24年度版中学校国語教科書『中学生の国語』|三省堂「ことばと学びの宇宙」 今回は前回に引き続き「表現力」の単元。見開きコラムの「類義語辞典の活用」も読み飛ばさずに読む。ここでの問題は次のようなものである。 「―線部の「推量」という言葉が少し…

Quodlibet # 2 「聖餐」をめぐって ( 2 )―哲学者たちの聖餐 上

前回は前座の話が長くて切り上げてしまったけれど、今回は本題について書こうかなと思う。聖餐の最中に起こっているとされている「実体変化」の教義と、それをいろいろな事情で説明しようとした哲学者たちのお話である。この一見してニッチなテーマは、特に1…

ダイスケつれづれ 第4回「TVピーポー!」

テレビを観る。なんだかんだ暇な時間にテレビをつけてしまう自分は旧時代の人間のような気がする。 昔々、テレビがメディアの王様だったころには、高速道路を走るのを車載カメラで撮ってそれを延々と流すような番組があったらしい。もちろん、深夜番組だけれ…

シネマディクトSの冒険~シュウの映画時評・第五回「キャロル」~

トッド・ヘインズ「キャロル」(アメリカンビスタ・118分) carol-movie.com ・映画とその時代 地下鉄の音が流れながら通気口が写るオープニングに「CAROL」のタイトルがうっすらと現れる。アイゼンハウアー大統領の就任というニュースから、そして粒子が荒…

中学国語教科書を読む―その7―

平成24年度版中学校国語教科書『中学生の国語』|三省堂「ことばと学びの宇宙」 万葉集やら、かぐや姫やらの歴史的な文章を終えると、漢字についてのコラムが二つ続く。「漢字の字体・画数・筆順」では、歌舞伎に使われる勘亭流、寄席文字、相撲文字といった…

シネマ三銃士Z 第105回~この女優を見よ!ダイスケ編~「渇き。」

fmfuchu.seesaa.net はい、というわけで今回も始まりました、シネマ三銃士Z。わたくし司会のダイスケです。 さてさて、この回は竹内くんとマサトシがお休み。ぼく、ダイスケとシュウくんの二人でお送りします。時折聞こえる笑い声はディレクターのはじめち…

中学国語教科書を読む―その6―

平成24年度版中学校国語教科書『中学生の国語』|三省堂「ことばと学びの宇宙」 第6回である。次は「竹取物語」。全部はとても長いので、いくつかの場面を抜粋して掲載されており、その間に編集委員による説明が挟まっている。冒頭では「古典には、その当時…

中学国語教科書を読む―その5―

平成24年度版中学校国語教科書『中学生の国語』|三省堂「ことばと学びの宇宙」 今回は漢詩と漢文を扱う。中学一年生でもこんなのをやったっけか。あまり記憶にないが、有名な孟浩然「春暁」と論語による「吾、十有五にして学に志す…」のやつ。 「春暁」は素…

海外文学バカ一代 第二回「自己紹介がわりの何かと2月の新刊」

と、いうわけで第二回。前回は挨拶がわりとしてぼくがどんな本を読んできたかを並べていったのだけど、アメリカの作家ということでもジュライとか、デニス・ジョンソンとかいろいろ忘れていた。もしかしたら、ああして羅列するのは無理があるのかもしれない…

シネマディクトSの冒険 ~シュウの映画時評・第四回「ザ・ウォーク」~

前回の「ブリッジ・オブ・スパイ」評において、私が一本の糸が両端から引っ張られることをサスペンス性の比喩として用いたとき、そうした選択を無意識に決定していたのはこの映画だったのかもしれない。というのもまさにこの映画こそ、110階建て、地上417メ…

中学国語教科書を読む―その4―

平成24年度版中学校国語教科書『中学生の国語』|三省堂「ことばと学びの宇宙」 第4回である。今回は「随筆」と「物語」を読む。随筆は枕草子と徒然草。物語は平家物語であり、どれも全て冒頭部分が載せられている。この記事も随筆ということになるのだろう…

海外文学バカ一代 第一回「まずは自己紹介をかねて、これまでぼくがどんな本を読んできたのか」

はじめに ぼくは海外文学が好きだ。 なぜこうなったのかはわからない。 日本文学も読んではいた。漱石や太宰、鴎外、安部公房や大江も読んだ。村上春樹や村上龍も読んだ。あ、筒井も読んだな。星新一も読んだ。こうしてみると、結構読んでいる。たいして読書…

中学国語教科書を読む―その3―

平成24年度版中学校国語教科書『中学生の国語』|三省堂「ことばと学びの宇宙」 前回は和歌を三首よんだだけで終わってしまった。あまりにのろのろとしたペースだけれど、仕方がない。学生のときもなぜ国語の教科書がこんなに進まないのか、理解できなかった…

シネマディクトSの冒険 ~シュウの映画時評・第三回「ブリッジ・オブ・スパイ」~

スティーブン・スピルバーグ「ブリッジ・オブ・スパイ」(シネマスコープ、141分) www.foxmovies-jp.com 傑作である。冷戦期、1972年のミュンヘン・オリンピック事件を素材にした傑作「ミュンヘン」を撮ったスティーブン・スピルバーグは、本作で1950年代後…

ダイスケつれづれ 第3回「クリスマスはやるのにラマダーンはやらないの?」

さて、まずはニュースを1つ。ドルチェ&ガッバーナがイスラム女性向け「ヒジャブ」コレクション発売 www.fashionsnap.com これ、カッコいいと思うんですがどうですかね?ジョジョのキャラクターでこんな格好をしたのがいてもおかしくないような。 記事にもあ…

Quodlibet #1 「聖餐」をめぐって(1)―『さよなら子供たち』の聖餐

このコーナー(Quodlibet:好き勝手におしゃべりする)は、映画の話を無理やり枕にして、映画以外のテーマについて好き勝手に思ったことを書くコーナーです。たまに映画のことも書きます。 www.amazon.co.jp ルイ・マルの『さよなら子供たち』(1987年)は、ナチ…

「はじめのラジオ講座」第一回「AMとFMってなに?」

シネマ三銃士Z担当ディレクタのはじめです。ラジオ好きが高じて、ラジオディレクタを務めさせていただいております。 そんな訳で、こちらのブログでもラジオに関する記事を書くことになりました。 まずは、AMとFMについて書いていこうと思います。 普段ラジ…

ダイスケつれづれ 第2回「君の名は?」

夫婦別姓について書こうかと思う。ちょっと時機を逸した感はいなめないが、この話題について語るにあたって、僕ほどの適任者はいないであろう。これをみすみす逃す手はない。 12月16日、最高裁は夫婦がどちらか一方の姓を選択しなければならない現状を合…

中学国語教科書を読む―その2― シュウ

平成24年度版中学校国語教科書『中学生の国語』|三省堂「ことばと学びの宇宙」 テレビやゲームをさしおいてまず何よりも国語の宿題をするという中学一年生などほとんど居ないだろうから、この年末も差し迫った日に真剣に国語の教科書を読んでいるのは僕だけ…

シネマディクトSの冒険 ~シュウの映画時評・第二回「マイ・ファニー・レディ」~

ピーター・ボグダノヴィッチ「マイ・ファニー・レディ」(アメリカン・ビスタ、93分) www.myfunnylady.ayapro.ne.jp あの「ペーパー・ムーン」を撮ったボグダノヴィッチの13年ぶりの新作、しかもコメディであるというだけで映画館に駆けつけなくてはならな…

中学国語教科書を読む―その1― シュウ

平成24年度版中学校国語教科書『中学生の国語』|三省堂「ことばと学びの宇宙」 小学校、中学校、高校と、必ず全教科について教科書があったけど、あまり丹念に読んだ記憶はない。ページを飛ばしたり、先生オリジナルのプリントを使ったりして、身近でありな…

ダイスケつれづれ 第1回「だいたいのネタはインターFM、最近は」

さてさて、なんだか真面目くさって映画の話ばかり書いていても飽きるので違う話。 「シネマ三銃士Z」では毎回1曲音楽を取り上げます。ポッドキャスト版では諸々の問題があるためにそれを流すことはできませんが・・・。 この1曲、映画で使われた楽曲をか…

「レザボア・ドッグス」のフォーカスについて

下の文章は2011年5月12日に放送されたシネマ三銃士「レザボア・ドッグス」の回で掲載されたものです。FM小金井ポッドキャストは近々閉鎖予定で、そうなるとそこに掲載された文章も消えてしまいます。なんだかそれももったいないので、ちょっとずつこ…

シネマディクトSの冒険 ~シュウの映画時評・第一回「野火」~

塚本晋也「野火」(2015)87分・アメリカンビスタ 自らがなにかに引き裂かれ、分裂を回避できないとき、そこに倫理が生じる。戦場では文字通り肉体としての人間が現れる。それは「犬」や「猿」のようなものであり、肉片である。そうした事実を認めながらも、…

テーマ解説:「フランスの泥棒」(2015年5月17日放送「YAMAKASI」・2015年5月31日放送「ミックマック」)

「フランスの泥棒」というテーマ設定をして、2015年5月17日放送回で「YAMAKASI」と2015年5月31日放送回で「ミックマック」の2本を取り上げました。正直、この「フランスの泥棒」というテーマでくくるということには若干の無理があるのは承知なのですが。 フ…

シネマ三銃士とは何か?

「シネマ三銃士」は2011年1月からFM小金井で放送されていたラジオ番組です。「いた」というように過去形で語るわけは、2011年12月をもって「シネマ三銃士」は終了したためです。そして、2012年1月より「シネマ三銃士Z」にリニューアルされま…

おしながき

これまでに取り上げた映画を並べていきます。これらはポッドキャスト版としてWeb上に漂っています。お好みの検索エンジンを使い、「シネマ三銃士Z」と検索すればおそらくヒットすることでしょう。前身の番組である「シネマ三銃士」とFM府中に移転する以前のF…

「マグノリア」回の補足

PTA(ポール・トーマス・アンダーソン)は何気なく超絶技巧を織り交ぜてくる。たとえばウィリアム・Hメイシーが電器店に入っていくシーンやクイズ番組の放送局内のシーンなど、ワンカットで収めることに執念を燃やしていることが明らかだ――その効果は明らか…