海外文学バカ一代 第二回「自己紹介がわりの何かと2月の新刊」
と、いうわけで第二回。前回は挨拶がわりとしてぼくがどんな本を読んできたかを並べていったのだけど、アメリカの作家ということでもジュライとか、デニス・ジョンソンとかいろいろ忘れていた。もしかしたら、ああして羅列するのは無理があるのかもしれない。
で、今回はもう面倒だから気になる新刊のことを書こうと思う。一貫性がないけれど、臨機応変ということで。
前回書いたけれど、ぼくはスティーヴ・エリクソンが苦手だ。一応『Xのアーチ』『エクスタシーの湖』『黒い時計の旅』と買ってはあるものの、読み通せていない。
ピンチョンがほめているみたいだから気になったのだけれど、いまいちぼくには合わなかったようだ。
何がダメなんだろう。幻視の作家、みたいなことを言われるエリクソンだけど、そうした作風がぼくは嫌いなのかもしれない。
で、2月にエリクソンの新刊が出る。白水社から『ゼロヴィル』、集英社文庫で『Xのアーチ』。
エリクソンは昨年末にもちくま文庫で『きみを探して』が出ている。どうしたんだエリクソン。ブームが来るのか?
あ、本人が来日するのか。
エリクソンは3月に開催される東京国際文芸フェスティバルに来るらしい。
というわけで、苦手だけれど流行りに乗ってエリクソンを読もうかと思う。せっかく買って持ってるし。感想は次回。
ブームといえば前回ぼくが苦手だということで挙げていたもう一人、ミシェル・ウェルベック。
ウェルベックは『服従』以来ちょっとしたブームが来ていた感じがするのだけど、どうだろう?
去年の9月に『服従』
10月にはちくま文庫から『地図と領土』河出文庫から『プラットフォーム』
そして今月『ある島の可能性』が出た。
ぼくはちくま文庫から出ている『素粒子』を読んだだけなのだけれど、あんまり楽しく読んだ記憶はない。
ウェルベックに限らず、フランスの小説がちょっと苦手なのかもしれない。
といっても、フランスの小説って『ボヴァリー夫人』か、ジャン・フィリップ・トゥーサンぐらいしか読んでない。『地下鉄のザジ』は買ったけど読んでないや。
まあ、結局のところ読まず嫌いなのかもしれない。
と、いうわけで、読まず嫌いはやめて、ウェルベック、読んでみようかと思う。流行ってるみたいだし。
ぼくはミーハーなのだ。
フランスというと、なんだか小説よりも哲学とか思想が思い出される。フーコーとかデリダとかドゥルーズとか。難しいんだけど、読んでるとかっこよくない?
ああ、あと2月にはオルハン・パムクの新刊が出る。
言わずと知れたトルコ人初のノーベル賞受賞者。『わたしの名は紅(あか)』と『雪』は読んだ。どちらもよい。
『わたしの名は紅』はオスマントルコの細密画家たちの話。細密画家のひとりが殺される。この殺された細密画家が話者。いったい彼はなぜ殺されなければならなかったのか。謎を追っていく様はミステリー小説のよう。まあ、小説って基本的に全てミステリー。
『雪』は現代トルコの話。十数年ぶりに外国から故郷に帰った詩人が主人公。ある殺人事件について取材をすることになるのだけれど、それを進めていくことで主人公は迷宮に迷い込んでいく。なんだかカフカの『城』を思い出した。
で、新刊が『黒い本』
3888円、高い。
海外文学の単行本は高い。3000円はざらだし、もっと高いこともある。で、中途半端な金額のものを買うといまいちだったりする。その点、文庫で出ているとすごく助かる。たとえ上下分冊にされていたとしても、文庫だと気が楽だ。そんな気がするだけで、決して財布に優しいわけじゃないけど。だって、分冊だと結局2000円以上にはなるでしょう。分冊じゃなくても、1500円ぐらいの値段は平気でつけられていて、それって単行本の値段じゃん、って思うわけだ。
さて、一応、現時点で読もうと思ってるのはエリクソンとウェルベック。でも、2月に入ったらボラーニョの『2666』をついに買おうかと思っているから、どうなってるかわからないけど。
というわけで今回はここまで。またね。